株式会社小木野貴光アトリエ一級建築士事務所
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光をつかむ家(Light Fall House)

ヒアリングから、「安心して暮らせる住まいを望んでいる」ことをくみ取り設計した埼玉県川口市の住宅です。プライバシーを確保し外から見られないルーバーは窓を暴風雨時の飛んで来るモノから守り、箱型の四角い形は、ガシっとした独特の力強さがあり、構造的にも心理的にも安定感のある建築になっています。

都市部の狭小敷地で快適に住むために、2階からしか入らない直射日光を「つかまえ」吹抜けから、滝の様に光が流れ落ち、家の色々なところに光が届く、1階まで明るい家とする事を考えました。

家づくりのきっかけ・施主の要望
元々、リノベーションの相談でお問い合わせを戴きましたが、お会いしたら建て替えをしたいとのご依頼でした。近隣に家が立て込んだ狭小敷地ゆえの、暗さ、明るさが気になっている様で、元々、2階は明るいので、明るさのある家にしたい。1階が近くの家の影になってしまい暗いので、明るくしたいけれど無理かな?という要望と相談がありました。又、防犯防災が気になる様で、風雨の時に、モノが飛んできてガラスを割らないか不安。今ある様な塀が欲しい。その他に、大勢の家族が集まれる場所が欲しいという希望。既存の生活空間の中で植物を育てる様子が見てとれました。
(具体的な要望に隠れた、言葉になっていない要望をくみとりながら設計しました。)

要望のポイント
・2階は今の明るさが欲しい。1階は影で暗くなってしまう(明るい家)
・植物を育てたい。(植物・小物と好きなモノに囲まれた生活)
・塀が欲しい(プライバシーを大事に)
・暴風雨の時の不安(安心感を持って暮らす)
・リノベーションで無く、建て替えにしたい。(耐震性のある住宅)
※()内は、言葉にならない、要望をくみ取った内容

この事例の見どころや工夫したところ
敷地は、東京近くの住宅密集地。南側道路だが向いには3階建ての家が並んでいて、1階は殆ど日影になっています。敷地面積は63㎡と小さく、建築面積ギリギリの2階建てとする事から計画はスタートしました。
建て替え前の2階の明るさを話してくれた施主に、1階も明るい家をお渡ししたいなと考え、吹き抜けから光を取り込み、1階まで明るい家とする事を考えました。2階からしか入らない直射日光を、「つかまえ」吹抜けから、滝の様に光が流れ落ち、家の色々なところに光が届く設計をしました。光をつかまえる吹抜け部分は、家の中の半屋外的な場所だと考え、壁には外壁で使う下見板張りという、木の板張りをし、屋外的な雰囲気を創り出しています。朝の光は美しいです。綺麗で。その美しい光を、吹き抜け越しに取り込んだ景色。この光景を見た時、思わず「お~」と声を上げてしまいました。自分で設計したはずなのに。

窓には、木の格子であるルーバーをつけています。このルーバー格子は、場所によって隙間間隔が異なります。2階窓のルーバーは、夏は昼間光が入り過ぎず暑くなず冬は光がしっかり入る間隔にいます。1階は間隔を大きくして少しでも光が入る様にしています。塀のルーバーはプライバシーを重視して覗かれない様、間隔を狭めています。暴風雨の時に木の格子であるルーバーが窓ガラスを守ってくれます。

箱型の四角い形には、ガシっとした独特の力強さがあり、構造的にも心理的にも安定感のある建築になっています。暴風雨の時の不安の話を施主からされ、雨風に限らず、安心して暮らせる住まいを望んでいるんだと考えました。生活をまもるしっかりした住まいの形にしようと、箱型にこだわって設計をしました。

外壁は、墨を入れた左官仕上。グレーの左官基材に、墨を入れてコテ塗りしています。斑が入った感じのニュアンスがでた仕上で、左官職人さんの腕が極上でした。めちゃくちゃ上手いです。

植物を育てるのが好きという施主。建て替え前もベランダで鉢植えをしたり、室内に観葉植物を飾ったりしていました。そこで、大きめのルーフバルコニーをつくり、植木鉢で植物を育てる場所をつくりました。また、建て替え前のお住まいに伺ったところ、観葉植物と一緒に、小物なども上手に飾らせていました。そこで、小物を飾られる飾り棚や、出窓をつくっています。この出窓は、建築面積に入らない為、部屋をゆったりさせてくれます。2.7m巾の出窓は通常より広く小さな部屋の様な余白になっています。床からの高さを70cmとする事で、ちょっとしたベンチにも、飾り棚にもなります。天窓は空が見える窓にしたかったので、3階建ての隣の家、上から覗かれない配置を確認して、透明ガラスにしました。

延床面積19坪と小さな家ですが、親類縁者が多く、沢山の家族が集まる事がある為、ダイニングスペースを大きくとり、大きなダイニングテーブルで、皆で食事が出来るダイニングキッチンとしました。家具はオーク材で製作しています。フローリングは無垢のブラックウォールナット。障子は破れない障子で、アクリルに和紙を貼っています。柔らかい光が通ります。

施主の感想
家が出来上がってからは、親類や離れて暮らしている家族が、入れ替わり立ち替わり訪れて、家族の集まる家になっています。「皆んなが遊びに来るから、ちょっと大変だよ」と、嬉しそうにお話ししてくれます。吹抜け空間や素材など、あそこが良いね!ここが良いね!と色々な処を気に入って貰っています。特に、壁の下見板張りや、垂木と構造用合板の天井など、木を効果的に使っている住まいであること、明るい空間であることで暮らす事を楽しで戴いています。完成後、周囲にお住まいの方からも、素敵な家だねとほめていただいています。

事例の進み方
施主と話をしていて、こうしたいという具体的な事の裏側に、暮らす事への想いが隠れている事に気が付きました。そこで、具体的な要望に隠れた、言葉になっていない要望をくみとった提案をする事にしました。模型をつくって、図面では分かりづらい形や吹抜けの様子を理解しやすい打ち合わせを行いました。製作家具と既製品のキッチンなど、つくるもの、買うモノのメリハリをつけています。オリジナルの製作家具(食器棚・TVボード)は施主の暮らし方をヒアリングして、生活の方法にフィットした設計をしています。

植物や小物などを飾るのが好きな施主が、工事中の仮住まいにあった出窓を気に入り、急遽工事中に新居にも、飾り棚兼ベンチの出窓をつくりました。気持ちの良い出窓にしようと一生懸命考えて寸法や形を決め、部屋にゆとりが生まれる凄くいい感じの出窓になりました。

印象に残っていること
外壁の左官素材を決める為、白・茶・墨黒の3種類の試し塗りをつくり施主に見て戴いたのですが、1番インパクトのある墨黒の素材感を気に入り決められました。その、墨黒に合わせて、ルーバーのブラックウォルナット色、チークのフローリング、家具のオーク材、レッドシダーの下見板貼と、素材の組み合わせを連動して決めていき、独特の質感の住まいになりました。

構造:木造 2階建て
用途:住宅
敷地面積:63.01㎡
延床面積:65.71㎡
建築場所:埼玉県川口市
建築場所:東京都北区
設計:株式会社小木野貴光アトリエ一級建築士事務所・東京都北区赤羽・静岡県浜松市拠点の建築設計事務所
Année du projet : 2021
Coût du projet : 10 000 001 - 30 000 000 JPY
Pays : Japon